こんにちは。
加藤秀視です。
今回は出版関係の皆様にお願いがあって、この記事を書かせて頂いております。
俺は今、3月11日の東日本大震災の被災地支援活動をさせて頂いています。
先程、ブログにもアップしましたが、7月22日から東北復興サポートセンター「Hamanasu」を開所致します。
そこですでに25人の方々を雇用させて頂いているのですが、
その中の数人の漁師さんから一つの提案がありました。
それは被災した当事者が自分達の想いをまとめた本を出版したい、というものでした。
はじめ、俺は躊躇しました。
地震や津波に襲われ、母や父、子どもや妻、夫、おじいちゃん、おばあちゃん、
そんな、大切な家族を失った方々。
そんな悲しみや苦しみの真っただ中にいる皆様の想いを集めて出版するだなんて、
逆に皆様の想いを踏みにじることになるのではないか…
そんな想いが、どうしても消せなかったのです。
そこで俺はその漁師さんに、
「今、被災した方々の心はとても繊細になっていると思います。本気でやりたいかどうか、もう一度考えてみて下さい」
と言いました。
すると数日後…
その漁師さんたちと数人の方々が、本気で本を出版したい!と言いに来ました。
しかも、その時にすでにたくさんの原稿まで持ってきたのです。
そして、その漁師さんは続けて言って下さいました。
私たちはこの本を通して伝えたいことがあるんです。
一つは、私たちが今、どういう状況、心境で復興を目指しているか、頑張っているのか、リアルな状況を知って欲しい。
こんな過酷な状況でも頑張れるんだ、前を向いて生きているんだ、ということを見てほしい。
そして、そんな自分たちの姿や生き方で、どこかで苦しんでいる人、落ち込んでいる人たちに勇気を届けたい。
もう一つは、今自分たちが生きていられるのは皆様の支援のおかげだと、感謝を伝えたい。
過去前例を見ない大地震。
住むところも、食べる物も、着る服も、家族も、全て流された。
でも、そんな状況でも、たくさんの方が数えても数え切れないほどの支援やエールを下さったからこそ、
今、自分は生きていられる。
まだまだ元の生活には程遠いけど、命をつなぐことができている。
そんな皆様に、どこまでも「有り難う」と伝えたい。
最後は、失ってからでは遅いものがある、ということを感じてほしい。
普段当たり前に感じる大切な家族、愛する人、かけがえのない父、母、そして、自分の命。
もしかしたら、親に、「有り難う」と言えるのは今日が最後かもしれない。
もしかしたら、愛する人に「愛してる」と伝えられるのは今日が最後かもしれない。
もしかしたら、大切な子どもに「行ってきます」と声をかけられるのが最後になるかもしれない。
失ってからでは遅いことがある。
そのことを知って欲しい。
そんな、想いのこもったメッセージをたくさん伝えて下さいました。
下記のものは被災した方々から頂いたメッセージの一例です。
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去る3月11日の大震災で志津川病院に入院中、波にのまれ惨死に至った事は残念でなりません。
今までの思い出が頭に浮かび毎日を過ごしています。
我が家に嫁ぎ六十有余念の間、共に無病で働き安定した生活を過ごした事を思ふと、感謝の念でいっぱいです。
曾孫達ものびのび育ち、いつも笑顔を絶やさず、すくすくと育っています。
私はいつまでも元気でばあさんの分まで家業に専念する気持ちでいっぱいです。
家の事は心配する事なく安らかに成仏して下さい。あと何年後に会える日を待ってて下さい。
さようなら
ばあさんへ
ぢいさんより
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長い長い想像もしていなかった非難生活。
4月18日の事、母が見つかったとの連絡が入り、次の日会いへ向かった。
遺体安直所は何百とお棺が並び、とても息苦しいものでした。
髪も無く鼻は変形しており、歯も何本かあるだけ。
顔は倍に浮腫黒くなっていた。
幸い仕事の制服にネームがあり本人と確認が出来た。
母が着ていた服を兄弟と川へ洗濯へ行った。
泥だらけで海水を吸収した服は重く、ザクザクに破れている箇所には血痕が付き、何回も何回も綺麗になるまで洗った。
長時間の川水に浸かったにも関わらず、手は冷たくもならず生温いものでした。
母の痛みが、どんなに苦しく、痛いものだったか……。
考える度、胸が痛み涙がとめどなく流れた。
きっと、私と子供が逃げきれたのか心配で自宅へ帰ってきたのだろう。
遺体が見つかったのは自宅のある方向でした。
当たり前にありふれている毎日の日常も、
いつも一緒にいる凄く大切な人も、
けして当たり前に在るものでは無いと言う事。
存在する以上、いつか別れがあると言う事。
毎日に感謝してほしい。
そばにいる誰かを今以上にもっと大切にしてほしい。
あの日津波さえこなければ、
こんな別れ方しなくても済んだのに
沢山喧嘩した事
沢山心配かけた事
沢山迷惑かけた事
口うるさく言われた事
泣かせた事
本当に27年
ただ、ありがとう
何も返せなかった親孝行
今からでも何か出来る事を
失くして気づく事
失って気づく事
今も、考えない日は無い程、辛い、苦しい
帰りたくとも帰れない場所がある
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これらのメッセージは、ほんの一部にすぎません。
ここには書き切れないほどたくさんのメッセージを持ってきて下さいました。
俺はこの話を聞いて、これらのメッセージを読んで、漁師さん達の「本気」を感じました。
ならば俺も本気で応えないと失礼だと思い、出版することを決意しました。
実は、いくつかの出版社からすでにお話を頂いていたのですが、俺も出版の専門家ではないので、
知り合いの出版関係者にどこの出版社がいいか相談してみました。
すると、
「それなら公募してみたらどうか?」
というアドバイスをもらったのです。
というのも、今回の出版は被災した方の想いを届ける、という大きな役割がある。
だから、本当に想いに共感してくれる出版社と一緒にやった方がいいんじゃないか、ということなのです。
俺もこの意見に強く共感したので、
この被災地の方々の想いを本にして下さる出版社を募集することにしました。
本の内容がどのようなものになるかは、まだわかりません。
体験談になるのか、詩集になるのか、それはこの想いに共感して下さる出版社の人と一緒にこれから決めていきたいと思っています。
この出版に関して前向きに検討して下さる方は、
shushi_ranger@yahoo.co.jp
または、
0288-23-8123
までご連絡頂けましたら幸いです。
また、この記事を可能な限りたくさんの出版関係者の方に見て頂きたいので、
拡散にご協力頂けますと幸いです。
よろしくお願い致します。
いつもご支援して下さる皆様、このブログを読んで下さっている皆様、
誠にありがとうございます。
心から感謝致します。
愛と感謝を込めて。
加藤秀視